2014年2月3日月曜日

遺伝子診断: 心臓病を予想する 4-predict and prevent arrhythmia (in Japanese)

ワシントン大学の医学部は201311月末、心臓病の中でも希少疾患ながら、突然死を引き起こすやっかいな病気としてしられている不整脈、心筋症の関連遺伝子69個を一度のエクソン解析から分析する、新しい遺伝子診断サービスの開始を発表し、CardioGene Setと名付けました。なぜ、この心臓病の遺伝子診断が、患者さん達の未来にポジティブなインパクトを与えるのでしょうか?

心臓の疾患で、遺伝子診断が最も成果を発揮している分野と専門家が広く認めているのが、イオンチャンネルの異常によって起きる疾患群です。イオンチャンネルというのは、私達の体の細胞の中の電解質の量を調節しているチャンネルです。つまり、私達の体の細胞内のカルシウムや、ナトリウムの量を、ある一定の濃度内に保っているチャンネルです。このチャンネルに異常が起きると、細胞内のカルシウムなナトリウムの量が正常範囲内を下回ったり、上回ったりするようになり、細胞がおかしくなってきます。

Long QT症候群は、イオンチャンネルによって不整脈が起きる疾患群で、遺伝子診断が決定的に重要な役割を果たしています。Long QT症候群では、すでに10以上の原因遺伝子が発見されており、それぞれの遺伝子異常が、どの位突然死を起こしやすいかという研究が進んできています。Long QTで一番怖いのは、Torsades  de pointes(トルサデポワン)とよばれる、特徴的な心電図のパターンをしめす不整脈につながることです。この不整脈は、心拍数の異常な上昇につながり、死に至る事があります。Long QTを遺伝子異常のパターンによって分類することは、Torsades de pointesに移行する可能性の予測、それを防ぐための治療法の選択に大きな役割を果たします。つまり、遺伝子診断が、予後の予測だけでなく、予後の改善に役立つのです!


それでは、このような心臓病の遺伝子診断が可能になったバックグラウンド、医師の役割について次回は述べていきましょう!

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