遺伝子診断はなぜ有用?
ワシントン大学では、心臓病の遺伝子診断プログラムをスタートさせました。これは、CardioGene Setと名付けられています。Cardiac
Gene Setsは、 通常の診療プロセスの中に組み込まれており、血液検査や心電図を使った検査を行うのと同じように、遺伝子診断をオーダすることが 医師により行われるようになっています。この心臓病の遺伝子診断を考える前に、遺伝子診断が今、どのように使われているかを考えてみましょう。
遺伝子と病気との関連づけは、循環器疾患、癌、潰瘍性大腸炎やクローン病、小児の遺伝病、神経変性疾患など、様々な疾患において近年急ピッチで進展しています。この、急ピッチで進む疾患メカニズム研究の進展にもかかわらず、これらの疾患の発症を正確に予測し予防するレベルには達していません。また病気の進展を劇的に防ぐ段階にも達していないと言えるでしょう。
それでは遺伝子診断の意義はどこにあるのでしょう? 遺伝子診断は、ここ2、3年という短期間で、多くの診療科、疾患分野において、 臨床の現場で使われるようになっています。特に2つの分野で遺伝子診断が患者の治療法、QOL、予後の改善に寄与する事が明らかです。1つは、monogenic
diseaseと呼ばれる、単一遺伝子の異常がはっきりと疾患の進展を予測できる場合に、症状と遺伝子情報を照らし合わせ、患者さんの確定診断を行う事ができる事です。もう1つは、癌の分野において、ある癌に特定の遺伝子異常が認められた場合、その遺伝子異常に効果的である事が明らかになっている抗がん剤を処方する事ができることです。
さて、それでは、次回はいよいよ心臓病の遺伝子診断が、患者さん達の未来にポジティブなインパクトを与えるのか考えていきましょう!
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